2014年11月11日火曜日

錦秋の候に思う


錦秋
 例年11月の第1週は同窓会で東京・有楽町の割烹に集まるが今年は幹事が栃木県出身なので、栃木・板室温泉で一泊の同窓会となった。塩原も那須の山々も紅葉に染まり見事であった。

末法の時代
 同窓会の宴会では一人ずつ近況報告をした。大学教授であったK君は病気年齢の話を工学博士らしく理路整然と話した。即ち、男子の平均寿命は79.55歳、健康寿命は70.42歳でこの差9.13年は病気年齢であるということであった。集まった同窓生18人全員が昭和163月以前に生まれており、病気年齢に入っている。近況報告をする多くの人々が病気の体験談をするようになった。仏教的には末法の時代に生きているような感覚になった。

チンパンジーには病気年齢は無い
 チンパンジーはリンネの分類では霊長類・ヒト科・チンパンジー属・チンパンジー種、現生人間は霊長類・ヒト科・ヒト属・ホモサピエンス種でありチンパンジーとヒトは極めて近い。遺伝子の差は2%以下であるという。
京都大学霊長類研究所の松沢哲郎先生はチンパンジーとヒトの差の一つは子育ての方法にあるという。チンパンジーの母親は5年間一人で(松沢先生はチンパンジーを「匹」や「頭」ではなく「一人、二人」と数える)育てる。
子育てが終わると次の子供を5年間育てる。チンパンジーの寿命は40年くらいなので7回くらい子供を育ててあげると寿命が尽きるのである。即ち、現役のまま死んでいくのであり、病気年齢はない。
一方、人間は子育てが終わっても生きていく。子供の子育てを母親だけに任せず手伝うことに人間の使命があると、松沢先生は言う。

病気年齢をいかに生きるか
 人は子育てが終わっても80歳前後まで生きる。ドーキンス著「利己的な遺伝子」によれば、遺伝子は自分自身を如何に増やすことが究極の課題である。人間は「乗り物」に過ぎない。遺伝子は自分の複製子を如何に次の乗り物に移していくかが主目的である。遺伝子から見れば病気年齢の乗り物は不要である。だから、遺伝子は、乗り物である病気年齢の人間が次の世代を作らないように、生殖器官の癌を引き起こす。前立腺癌、乳癌、子宮は遺伝子の意図なのである。
遺伝子の意図に対抗しても病気年齢を生きていく人間の目的は何か。ドーキンスは人間は文化(情報)を次の世代に伝えていく使命があるという。ドーキンスは生命の遺伝子DNAに対し、文化(情報)の遺伝子をMEME(ミーム)と名付けた。
 
人間はDNAとMEMEと2つの遺伝子を次世代に伝えて使命があるのである。

私のミーム
 私は110か月の孫がいる。私は自分の子供には仕事が忙しく何もしてやることが出来なかった。孫にはわたくしのミームを伝えていきたい。先ずは、遠山啓著「さんすうだいすき」という絵本を買った。